『ukiyo-e space』 では複製品すべてに、越後 門出和紙の自楮雪晒の和紙を使用しています。この紙は、紙作りの中でも最も手間のかかる製法で作られている紙で、出来・持ちともに最上の紙です。
この自楮雪晒の紙を使うことにより、柔らかな温かみのある風合い・素朴さを最大限引き出してくれています。
自楮雪晒の越後門出和紙とは、和紙の原料である楮(こうぞ)も自ら育てた楮のことをいい、そこから気の遠くなるような手間をかけて1
枚の紙が出来上がる、日本の紙の原点である手漉き和紙です。
雪晒(ゆきさらし)とは、紙の原料となる楮を雪の上で太陽の紫外線と雪の水分により楮を白くしているものになります。
楮はクワ科の落葉低木で雪解けの4月末頃に、株より新芽をだし降雪前の12月初旬までに3~4mに成長する。
5月、畑の中耕に合わせて雑草の刈り払いや、幹より出たばかりの枝目を取る芽かきを8月頃成木になるまでの間、3~4回繰り返す。
11月中旬、落葉を待って刈り取る。桑きり鎌を使って楮をしなわせながら、翌年の切株保護のため一瞬にして切る。3~4mの原木を、1mほどに切り、大釜で約90分蒸す。
蒸し上がった楮の皮を、1時間以内にむく。乾いてしまうと皮は再び木にくっついてしまう。風通しが良く、一日中陽の当たる場所になげしを作り、黒皮15本ぐらいを1束にして干す。半分ぐらい乾いたら上下を手返ししてわらで縛り直しまた干す。楮の黒皮を水に浸して包丁で表皮を削り取る。ワラジを裏返しにした台に皮を置き、包丁の背を下に皮を押し抑えつけて、皮の方を引きながら表皮を削る(芽落とし)。さらに深く削り 取った(なぜ皮)、緑色部分をすべて剥ぎ取った(白皮)と3種類に分ける。
「ukiyo-e space」で使用している紙は、この白皮を雪面に並べて雪晒をしたものを使い紙を漉く。これにより出来上がりの紙がより白くなる。
紙漉きの時、原料に混ぜる植物粘液をネリという。ここではトロロアオイの根をつぶして、出てくる粘液を利用する。漉き舟に水を張り、
紙料とネリを入れて馬鍬でかき混ぜる。漉く紙が薄いほどネリを増やす。ネリの働きで1cmほどの繊維の1本1本を粘液が包み込むので、水中でバラバラに解かれる。
竹ひごを絹糸で編んだ簀と桁を使って、紙料の上水をすばやく組み込む。初水、天地、左右に揺すり厚さを決める調子。ちりが付かないように紙面をなぜるように捨て水をする。くれ台に1枚づつ漉きあげた紙を空気が入らないように積み重ねていく。
前日に漉きあげた紙床を、半日ぐらいの時間を掛けながら少しずつジャッキで水分を切る。乾燥方法はステンレス板を使う火力乾燥と板干 し天日乾燥の2種類がある。「ukiyo-e space」で使用している紙は、印刷機にかけるため、均一な厚さが必要になる。そのため火力乾燥を選択している。板干し天日乾燥は、イチョウ、杉、栃などの板に紙床から1枚づつ剥がして刷毛で刷きながら板に張りつける。その日その時の気温、日差しが1枚の紙に表れるのでバラツキがあるが、最良の出来となる。乾燥後、1枚づつ明かりにかざして、キズ、厚さなどを分別する。